ラジオ番組に倣うこれからのコミュニティ開催手法のご提案

Shohei Oda
Dec 21, 2020

みなさんこんにちは。Microsoft のおだしょーこと小田祥平です。こちらは「DevRel Advent Calendar 2020」の 12/21 分の投稿となります。

COVID-19 の発症が確認されて早 1 年が経過して、経済や働き方だけでなく、生き方そのものにも大きく変化が出た 1 年でした。おそらくもうしばらくはこの状況が続くと考えている人が大半かと思います。

影響が出たのはコミュニティも例外ではなく、 DevRel やコミュニティに関わるほぼ全ての人の活動がオンライン中心へと変化していきました。

StreamYardの配信画面。全員が自宅からの登壇でした。アーカイブ動画は少しお待ちを…!!(´Д` )汗

今ではオンラインでの配信などによるイベント開催が当たり前となってきましたが、未だ参加者との濃厚なコミュニケーションの場としてのコミュニティの役割が戻った様子は見られません。

もちろんオンライン化したことによるメリットもたくさんありました。特に地域制約が撤廃されたことはオンラインならではのメリットで、私自身にも新しい出会いやこれまで見えてこなかったものが顕在化し、今では多くの学びと可能性を感じています。

ただ、やはり「会って話す」ことが選択できない状況は大きなデメリットです。コミュニティの醍醐味と言っても過言ではない大きなメリットが失われている状況はなんとかしたいと今でも考えています。特に新しく参加された方とのコミュニケーションや、オンラインで表情一つ読み取れない状況はすぐにでも改善したい。
とはいえ、現状は打つ手が少ないということも認識しています。数字的な参加者が増えても、カメラの向こうでどれだけの方が自分ゴトとしてとらえてもらえているのか、大まかに把握するしか手立てがないのです。

オンライン化した直後は新規参加者が一気に増えました。以下は「DevRel/Asia」で登壇した際に使用したスライドの切り抜きですが、現在はそれも一周して元の人数感に戻ってきています。
これが意味するものは人の循環ではなく滞留かなと感じています。未だ様々なコミュニティが正解を求めて必死にあれこれ試している状況であって、決して改善まで至っていないことと思います。

あくまで一例ですが、全体としてこういう傾向が見られます。

それでも毎月のように参加されている方も大勢います。過去一度でもオフラインでお会いしている方を中心に、ツール越しのコミュニケーションも随分と慣れてきました。オンラインで初めてお会いした方々とも徐々にですが円滑なコミュニケーションを取れてきています。ツールの進化や我々の慣れによって改善の傾向は見られるものの、未だ大勢の参加者とはオフラインと同じレベルには至っていないです。

理由は大勢の方に参加をしてもらうために「配信」という方法を多用しているためです。どちらかと言えば(私の年代的にも)テレビ的な側面が大きいなと思います。何の工夫もないとそもそもインタラクション性を担保する方法さえ存在しないのです。一方的な情報の受け渡しだけでは視聴者は真剣に見なくても良い状況が生まれます。それ自体は防ぎようがないのですが、より真剣に、かつそれが見える形にするにはどうしたら良いのでしょうか。

「DevRel/Asia」では参加者が認識されるフェーズについて説明し、そのために主催者が取れる具体的な方法として、イベントの楽しみ方をレクチャー、参加の意識付けを行ったり、イベント後のアクションを設定することとお話しました。実はこれ、そんなに新しいものではなく、ラジオからヒントを得たものなのです。

オンラインでは認識のフェーズが必要と強く説いている(俺が(´Д` )←)

学生時代、ラジオにハマっていた時期がありました。その時はもうeメールが使えたので、ハガキを出しまくった訳ではないのですが、一般的にそういう類のものは「ハガキ職人」と呼ばれていたようです。ラジオそのものが面白かっただけでなく、自分の話を読み上げてほしい、ラジオに自分の声を乗せてみたい、という想いがあってやっていたものです。ある日、チャンスが舞い込み、番組スタッフからの電話を受け、自分の出番を待っていました。残念ながら時間が足りず話をすることはなかったのですが、多少の興奮と可能性を感じたことは覚えています。

最近コミュニティでも Tweet を拾ったり YouTube のコメントを紹介したり、イベント中に参加者との間接的なコミュニケーションを取るスタイルが定着しつつあります。ただ、イベントの冒頭にだけ簡単に参加方法を案内するだけというスタイルが多いです。もう一歩踏み込んで、セッション毎(ラジオではコーナー毎)にファシリテーターがそのような話をするとか、コメントを拾うだけの時間を設けるとか(その時にお名前を読み上げるだとか)、勉強会の募集ページに予め参加する方への期待値を記述しても良いかもしれません。「こうやって楽しむイベントだよ」という説明は参加前の期待値調整にも非常に役立ちます。

特にオンラインから参加を始めた技術者はどう楽しむのかを理解していません。周囲に人がいないので、倣ったり質問することもできない。参加者も大切なコミュニティを構成する要素の一つにも拘らず、オフライン時代から参加していた方や主催者側はこれに気が付かず、見えない可能性を無視しがちなのです。そのため、楽しみ方の説明と定期的な呼びかけは自分たちが思うよりもより意識的に行う必要があります。

ツールが充実してきた昨今ですが、人や工夫の部分では今回の話以外にもまだ改善できる予知が残されていると思います。最新ツールの使用感なども含めて、それらのお話は特にこの Advent Calendar の元である DevRel Meetup in Tokyo がいち早く様々なトライをしています。もし少しでも興味があれば参加をして、主催/運営者が見える形で質問してみてはいかがでしょうか。我々は常に新しい仲間を探しています。

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